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山桜の広場
生まれ出たものは、いつかは再び大地に帰った。
人が人として生きる様になって、人は長い時間が過ぎたと感じ始めた。
それは、生きていた時の記憶を、次の代にうまく伝えることが出来る能力の喪失に他ならなかった。
「かたち」として、見たり、聞いたりしなければ理解できなくなった。
生きるものが持っていなければならない、伝え合う能力を、持っていたことさえ記憶の奥底に沈殿していった。
それは人が台地から..
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2008年02月05日(火)
No.355
(山のバス停)
山桜の広場
もともと、山中に生い立っていた杉や檜だった。
その場所に応じて、杉は杉として、桧は檜として生きてきていた。
谷ひとつ、山一つ違えば、杉や桧も性格が違っていた。
そこにあった、性を身につけて、山の一員としての位置を確保していた。
それが今では、どこもそこも、同じ性の杉や檜が、谷を跨ぎ、山を埋め尽くしている。
埋め尽くすように、強制されている。
杉は杉で、檜は檜で住み分けを望んでいる。
..
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2008年02月04日(月)
No.354
(山のバス停)
山桜の広場
そうやって生きて来たのは、何も鹿だけではない。
そう遠くない昔までは、そうやって生きてきたものたちで、山は調和がとれていた。
木も草も、花をつけ実をつけ、鳥や獣たちに、食物を提供しながら、己の種の保存に利用してきた。
子孫を遠くに残そうと、花の形・色・匂、実の形・色、それぞれ利用するものに合わせて、形を変えてきていた。
冬に雪に蔽われた山は、やがて来る夏の豊かさを保障する。
「暖冬、暖冬..
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2008年02月03日(日)
No.353
(山のバス停)
山桜の広場
山桜は足元に積んだ雪を見て安心した。
「やれやれ、やっと積んだか」
毎日、確実に一面に降り積んだ雪が、日増しに増えていった。
広場の奥や、吹きだまりには、木々の中ほどまでも埋めていた。
ここ半月ほどの朝晩の冷え込みも半端ではなく、毎日雪雲がかかり、視界が遠くまでは利かない。
「寒のうちとはよく言ったものだ」
山桜の広場への道が閉ざされて、3年が過ぎ、人気の絶えた山は、本来のにぎやかさが..
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2008年02月02日(土)
No.352
(山のバス停)
山桜の広場
冬の訪れが感じられる頃、ブナ翁が山桜の広場にきていろいろと話していったことが思い出された。
「わしはわしなりに生きてきたが、わしが培ってきたことでは、これから先乗り切れそうにない。」
ブナ翁は、はるか遠い昔を思い出すかのようなまなざしを、麓の方に送った。
「生きていく者たちが、知恵を出し合ってきた。」
カタクリの花が、春に先駆けて咲くようになったのは、種を残すための必死の知恵だった。
そ..
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2008年02月01日(金)
No.351
(山のバス停)
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